貝塚の住宅

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多様な風景を生み出す耐力箱

築約百年の木造長屋の改修プロジェクトである。改修に際しては、次の二点をテーマとした。ひとつは、できるだけ往時をしのばせる佇まいを残すこと。もうひとつは、耐震化を図りながら建物の性能と機能を向上させること。

一般に、古い長屋などの場合は設計図が現存していることは稀で、限られた時間と費用の中で、架構のディテールや素材の仕様を把握しきれないことが往々にある。今回も例外ではなく、その様な場合、既存骨組に新しいシステムを当て嵌め補強を行っても、架構の性能は不明快になる可能性が否めない。そこで、耐震性を有する剛強な箱体を複数個内部空間に挿入し、その箱体に地震力を負担させよう、という案にたどり着いた。言うならば 『耐力箱構造』 である。この耐力箱は、ツーバイフォー材の両面に合板を接着したサンドイッチパネルで構築される。耐力箱内部の空間は、リビング・ダイニング・寝室など在室率が高い用途の室に充て、古い骨組を補強しながらも万一の場合にはシェルターとして機能させることを意図している。

施工中は、部材の腐食や接合部の緩みの調査を行い、不健全箇所は金物や添木などで丁寧に手当てを行った。また、地震時の負担軽減を図り、屋根瓦を軽量な材料に葺き替えた。

老朽化した古い家屋の耐震化を考えるとき、住み手の想いとはかけ離れたドラスティックな補強になることが少なくない。
今回のリニューアルでは、“年老いた建物に敬意を払う”そんな気持ちのこもった改修方法の一例を示せたのではないかと思っている。

■ 設計
 AN Architects
■ 施工
 三陽工務店
■ 構造概要
 所在地:大阪府貝塚市
 主用途:住宅
 構造:木造
 階数:地上1階
 建築面積:75.94m²
 延床面積:106.00m²
 竣工年月:2008年7月

※掲載誌
 新建築住宅特集2009年7月号
 TOTO通信2011年夏号

  • 2009-07-07